変革期にあるデータサイエンス
プログラム修了後も続く通用する学びを
応用データサイエンス学位プログラム
運営委員長
大槻 東巳
近年汎用AIの実現が現実味を帯び、データサイエンスの社会的な注目度は非常に高まっています。ChatGPT4.0をはじめとした生成AIは、G7広島サミットで活用や規制に関する国際ルール策定が議論されたほか、リポートの作成時における使用の是非について大学が対応を迫られるなど、実社会でも見過ごせない存在となりました。これまでAIが囲碁やチェスのチャンピオンを破ったからといって、国際会議で話題になることなどあり得たでしょうか。データサイエンスの社会的重要性は、一段階も二段階も違うフェーズに来ていると認識しています。
本課程が発足して1年。初めてのゼミが始まるなかで、学生たちの取り組みの積極性には目を見張るばかりです。現実的問題の解決が研究テーマとなり得る応用データサイエンスという学問の特性も相まって、学生自ら研究テーマを提案し特定課題の研究へと発展させるケースも目立ちます。幅広いテーマに対して学生と教員が協働していく形態は、研究テーマではなく「研究手法」で集まった本課程ならではのもの。この面白い状況には私自身も刺激を受けています
前述したように、データサイエンスの世界は変革期に入っています。だからこそ、本学位プログラム修了後も新しい概念や手法を取り入れる能力を身につけてもらうことが、本課程の重要な役割だと考えています。一線の場で活躍する人には最先端のものを理解する姿勢は欠かせません。未知の概念や手法を自ら学び理解した、そうした経験が一度でもあれば、今後出てくる新しい技術を吸収していく基盤を獲得することができます。わからないものをわかろうとする意欲のある方と学ぶことを楽しみにしています。
社会人の皆さんへ
経験を礎に
社会人だからこそできる深い学びを
応用データサイエンス学位プログラム
運営委員長補佐
大原 佳子
近年、データの量が急激に増えるなかですべてのデータの分析・処理をすることはAIを利用しても不可能です。大切なのは、ビジネス活用の視点をもってデータを見極め理解する人間の力。つまりビジネスへの課題意識です。すでに社会人として活躍される皆さんが学問に触れることで、これまで培った課題意識を昇華し、よい学びにつなげていただければと思います。経験に基づいた学びができることは、皆さんの強みです。
学部生の皆さんへ
最先端のデータサイエンスで
異分野を横断し化学反応を引き起こす人材へ
基盤教育センター
データサイエンス領域長
倉田 正充
昨今の人工知能ブームのなか、データサイエンスはその裾野を大きく広げました。情報の収集から分析、社会実装までを担うデータサイエンスは、特定の学問領域だけでなくビジネスや公共政策など様々な分野で利用可能な方法論として確立しつつあります。本課程での学修を通じて、社会にデータサイエンスの「横串」を通す力を養うことで、異分野同士の未知なる化学反応を引き起こせるような人材を育成したいと考えています。
上智大学大学院でデータサイエンスを学ぶ意義
分析の先を見通す広い視野を持つ
データサイエンティストを育む
応用データサイエンス学位プログラム
特任教授
百瀬 公朗
本課程で学ぶデータサイエンスは、課題解決型の実践知です。それが理系学問中心の他大学とは最も異なる点だと言えるでしょう。トラディショナルな統計や数学、Pythonのようなプログラミング言語といったスキルが必要な場面もありますが、実務においては課題解決に際した適切な知識がより重要とい
えます。
方法論を学び、分析を行った先に何があるのか。技量技巧
の先にある目的を常に意識できる世界観を重視した、カリキュラムと教育環境を整えています。
また多様な年齢層の学生が混在していることは本課程で学ぶ魅力の一つだといえます。中高年・役職世代の社会人が新卒と変わらない世代の学生と同じ課題に取り組み、同じ立場でディスカッションができる環境は一般的な企業文化のなかでは存在しがたいものです。年齢や肩書き、業種・業界によらず忌憚のない活発な議論の飛び交う状況は、世代や立場によって変わる価値観を考えるきっかけとなるでしょう。
データサイエンスにおいて、人間の解釈する力は非常に重要といえます。近年生成AIが脚光を浴び、研究への適用も競うように進んでいます。私自身もマルチモーダルAIを用いて映像からデータ抽出を行うなど、実証研究で積極的に活用しています。しかし生成AIが効率化したのは、例えばレポート作成のようなミクロ的作業部分であり、社会課題に対する貢献といったマクロの世界ではまだ活用が充分でないのが現状です。生成AIの言語的理解の世界観は、数学モデルの解釈を必要とするデータサイエンスの科学的世界観には追いついていないのです。だからこそ、我々データサイエンティストには広い視野、世界観を持つことが欠かせません。本課程で学んだ方には、分析をするだけでなく、データを取り巻く環境や利用する方々を考慮に入れ、分析結果から価値を創造できる人物
になってほしいと願っています。
産業界・官公庁の皆様へ
応用データサイエンス学位プログラムが見据える将来
本課程の最大の特徴は、授業の段階から密に企業と連携しているところにあります。また講義を受け持つ教員の多くが、実務でデータサイエンスに関係のあるプロジェクトに多く関わってきた専門家であり、各授業でもこの分野の最前線で働く方々や企業に協力をいただいています。
実実際の現場では、顧客は何を求め、どのような課題を抱えているのか。現代社会が置かれた逼迫した状況を理解するには、実務における課題に当事者として取り組んできた経験が必要不可欠です。ここに、アカデミックの世界で研究を続けてきた教員の叡智が加わり、学問とビジネスを融合させた唯一無二の学修環境を誕生させることができたと自負しています。この上智ならではの環境で、社会人の学生にも、学部卒でこれから就職を考える学生にも、授業やインターンを通して、あらゆる業界でデータサイエンスへのプロフェッショナルとして活躍できる十分な技量を備えてもらいたいと思っています。データサイエンティストとしてあらゆる業界で即戦力となれるだけでなく、スタートアップを作り自ら新しい地平を切り拓くことも可能でしょう。これから本課程で学ぶ皆さんの大きな志に応えることができるよう、我々教職員も情熱をもって教育環境、学修プログラムの充実をはかってまいります。
本学位プログラムが目指すのは「データサイエンスの世界に上智あり」と言われるような存在となり、日本・世界のデータサイエンスを牽引していくことです。産業界の皆様の期待を超える人材を育成・輩出していくことをお約束します。併せて、日本のあらゆる事業の未来を牽引し、そして社会を下支えするデータサイエンスの振興に賛同いただくとともに、上智大学と共に連携して行う人材育成に一層の協力をいただきたくお願い申し上げます。